メダカは野生環境、飼育環境ともに淡水で生活する魚です。
しかし、病気や体調を崩した際に、塩浴が推奨されることがあります。
淡水魚であるメダカは、なぜ塩水に耐えることができるのでしょうか、またどのくらいの塩水に対応できるのでしょうか。
今回は、メダカと塩水について解説していきます。

体内塩分濃度

スプーンと塩

メダカの体内塩分濃度は、ほとんどの生き物と同じく0.9%(海水の約1/3)です。
メダカを含む淡水魚の棲む淡水は、塩分濃度が0.05%以下の水であるため、そのままでは、浸透圧によって水膨れのような状態になってしまします。
そこで、淡水魚は、餌や鰓(塩類細胞)から塩類を摂取し、不要な水分は多量の薄い尿(低張尿)として排出することによって、体の塩分濃度を一定に保っています。
一方、海水魚では、海水の塩分濃度は約3.5%(3.1~3.8%)のため、そのままでは脱水状態になってしまいます。そのため、海水魚は大量の海水を飲むことで水分摂取し、鰓(塩類細胞)や少量の濃い尿(等張尿)によって過剰な塩分を体外に排出します。

メダカの耐塩性

海と浜

淡水メダカは塩分10~15%の希釈海水なら、ほとんど死ぬことはないが、いきなり海水(塩分濃度、約31%)に入れられると3時間以内に死んでしまう。ところが4~5日ごとに塩分濃度を約1~2%ずつ高くしていけば、海水の塩分喉に達しても全く死ぬことはない

大学教育出版:『メダカ学全書』より引用

とされており、急激な変化で無ければ高い塩分濃度の水中でも生存できることが確認されています。
また、2016年に発表された論文では、いちど海水の塩分濃度を経験したメダカは、淡水飼育を経てふたたび海水に移された際に高い適応性をみせ、メダカの塩類細胞が、飼育水中の塩分濃度によって、増殖・排出のはたらきを強めることが確認されています。

塩浴

水カビの生えたメダカ

メダカが体調を崩した際に、塩浴が推奨されることがあります。
メダカは、淡水中で多量の尿を排出することによって体の塩分濃度を調節するため、腎臓をはじめ内臓に負担をかけていることになります。
水中の塩分濃度をメダカの体の塩分濃度に近づけることによって、メダカにかけかる負担を和らげることができます。
また、病気の原因となる細菌類は0.5%程度の塩分濃度で死滅するものが多く、殺菌効果が見込まれます。
塩浴を行う際には、0.3%程度の濃度から徐々に濃度を高めて0.7%程度の塩水で行うことが一般的です。

まとめ

メダカの体内塩分濃度は淡水よりも濃く、淡水中では水分過多で生活しています。
一方、メダカは段階的に慣らしていくと、高濃度の塩水にも耐えられる魚でもあります。
浸透圧調整を緩和する塩浴は、体調を崩した際などにメダカの負担を軽減することにつながります。

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