メダカ飼育において飼育水は重要な要素です。
メダカを飼育するうえで、飼育水に井戸水を利用している方、販売店もあるかと思います。
今回は、飼育水としての井戸水の特徴や注意点をご紹介します。
水温
井戸水(地下水)の水温は、1年を通じてほとんど2℃程度しか変化しないといわれています(地域や深さによって15~20℃程度の水温幅があります)。
井戸水にはカルキ(塩素)が含まれていませんが、急激な水温の変化はメダカの負担になりますので、換水を行う際には、汲み置きをして水温差をなくしてから実施しましょう。
※常に水を供給しつづける、かけ流しを行っている場合はこの限りではありません。
水質
井戸水には、厚生労働省による検査実施指導の要求や、自治体による設定基準は存在しますが、厳密な法的な水質基準や検査実施義務はありません。
また、水質が経年的、季節的な影響を受け変化するものもあります。
地表から近い浅井戸の場合、地表の影響を受けやすく、雨水や排水などによる不純物や細菌の混入、化学物質や脳やなどによる汚染や、災害時などに水質変化をきたすおそれがあります。
海水とか、工場排水、あるいは高濃度の無機塩類の混入していないものであれば、飼育水として適している。
大学教育出版:『メダカ学全書』より引用
とあり、メダカ飼育においては、水質を確認してからの使用が望ましいでしょう。
また、採水地によって水質が大きく異なる場合があります。
そのため、新規導入時、購入先が井戸水飼育していた場合は、水合わせが特に重要になります。
ミネラル
ミネラルは、五大栄養素のひとつであり、生命維持に欠かせない元素(=必須元素)です。
一般に市販されているミネラルウォーターは地下水であり、井戸水にも、特に深井戸の場合多く含まれるといわれています。
メダカにとっても重要なものであり、各メーカーからミネラル添加剤も販売されています。
水道水の場合
水道水は、水源としてダムや河川や池、井戸水(=地下水)を使用しています。
水道水は、健康への影響や、生活使用において支障をきたさないよう、水道法によって基準が設けられています。さらに自治体による独自の目標値が定められていることもあります。
水道水として供給されている水は、濾過・消毒処理などによって、定められた基準をクリアしており、場所や水源に関わらず、近しい性質をもった水であると言えます。
ただし、消毒の過程で塩素(カルキ)による処理が行われているので、使用の際にはカルキ抜きの必要があります。
コスト
井戸水は、(井戸の管理者の設定する料金にもよりますが)水道水よりも安い料金で使用することができます。
井戸を新設する場合は、設置によるイニシャルコストはかかりますが、ランニングコストとしては、水をくみ上げる際の電気料金のみで水を利用することが可能です。
特に大規模な飼育を行う場合は、このコスト面における恩恵が大きくなります。
まとめ
メダカ飼育において、井戸水の使用はミネラル分やコスト面において、大きなメリットがあります。
一方で、採水地による水質の差や、地表から影響により、メダカの健康や生死を左右してしまうおそれもあります。
小規模な飼育の場合は水道水を利用するのが無難ですが、井戸水を利用する際は水質の検査や、丁寧な水合わせを行いましょう。