メダカの卵の孵化条件は、水質や光、酸素量の影響もありますが、一般には250℃日(水温℃×日数)といわれています。
しかし、条件によっては孵化までに、倍の500℃日以上の日数がかかる場合もあります。
今回、実際に500℃日以上かかって孵化した個体の、孵化までの様子をご紹介します。

親魚の飼育環境

幹之メダカの飼育容器

親魚は幹之メダカです。
飼育環境は、加温飼育で産卵させた楊貴妃メダカとほとんど同じ条件です。
相違点は、ロカボーイコンパクトを使用している点、飼育水温が26~28℃(26℃の自動設定)である点、飼育数程度です。
オス2:メス1の計3匹でオスメスの割合も繁殖向きではなく、片方のオスの気が強すぎるせいか、いちどしか交尾に成功しませんでした。採卵できた卵の数は10個です。

孵化環境

別々に分けられためだかの容器

孵化環境も、楊貴妃メダカの場合と同じ条件です。
採卵後、タッパーに移し、加温した容器に浮かべての管理です。 水換えは1日に1回、水温をあわせた水道水で行い、孵化が近くなったと判断してからはカルキ抜きをした水を使用しました。
加温容器の水温は22~24℃程度、水温と日数の計算上では12日程度で孵化するはずです。

孵化

採卵から10日程度で孵化が始まり、その後、2日間で8個の卵が孵りました。
しかし、残り2つの卵は、中でしっかりと針子は形成されてまししたが、孵化することはありません。
しかし、卵が見た目ではあまりにも綺麗な状態であったため、加温環境から外すこともなく、水換えも毎日行いました。

孵化時期の異なる兄弟メダカ
同時に産卵された卵から孵った兄弟。孵化時期が大きく異なるため体格もまるで違う。

産卵からおよそ4週間、250℃日(水温℃×日数)の条件を倍以上に過ぎた段階で、残された2個の卵のうち、ひとつの孵化が完了しました。
あいにく、もうひとつの卵にはカビが生えてしまい死卵になってしまいました。

飼育水温と孵化水温

卵の発生は、35℃以下であれば、水温が高いほど速いが、低い水温下で産み落とされた卵の方が孵化に要する日数が短い

大学教育出版:『メダカ学全書』より引用

とされており、また、25℃で飼育したメスからの卵を20℃の水温下で孵化させた場合、27日(約4週間)かけて孵化した実験結果も報告されています。
今回の幹之メダカにおいては、親魚の飼育環境は26~28℃、孵化環境は22~24℃と、高水温環境から低水温環境へと移動されたことになり、これが孵化までに日数がかかった一因であると推察されます。

まとめ

メダカの孵化において、250℃日(水温×日数)という条件は一般的ですが、あくまでも目安であり、水質・光・酸素量、加えて採卵環境と孵化環境の水温差も孵化日数に影響を与えます。
また、今回の幹之メダカでは、同時に産卵された個体かつ同条件の孵化環境下においても、孵化日数に大きな個体差がみられました。
このことから、孵化の遅い卵であっても、焦らず適切な管理を行っていれば、時間はかかるかもしれませんが無事に孵ってくれるはずです。

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