気温が温かくなってくると、メダカだけでなく様々な生き物が活発になり、繁殖期を迎えます。
夏の害虫の代表格である蚊は、水場に卵を産み繁殖します。
今回は、その蚊の幼虫であるボウフラとメダカの関係性についてご紹介します。

ボウフラとは

ボウフラの群れ

ボウフラとは蚊の幼虫のことで、「棒振り虫」がなまったものが名前の語源であるとされています。
蚊は水辺の植物や水面に卵を産み、幼虫(ボウフラ)から蛹(オニボウフラ)の期間を、水中で生活します。ボウフラの期間は1週間~10日程度であるとされています。

アカムシ

冷凍アカムシ

メダカを含む観賞魚の餌、釣りの餌として利用されるアカムシは、ユスリカという昆虫の幼虫です。
ユスリ”カ”という名前で、見た目にも蚊に似た姿をしていますが、蚊とは別種であり、生き物を刺したり血を吸うことはありません。
ボウフラとアカムシも、ボウフラが呼吸管を用いて呼吸する一方、アカムシはエラ(器官鰓)で呼吸するなど、生態は異なります。

メダカはボウフラを食べるのか?

2匹のメダカ

野生のメダカは、動植物プランクトンや藻類、昆虫類を食べているという研究結果(『野生のメダカは何を食べているのか』)が得られており、また、

蚊の幼虫であるまだ小さいぼうふらを、メダカの成魚は一日に二十匹程度は食べる。

青弓社:『メダカと日本人』より引用

とあるように、メダカはボウフラは食べることが確認されています。
実際に、メダカはボウフラ(蚊)駆除として有用であり、蚊が媒介する伝染病の予防として、メダカが用いられたという例もあるそうです。

ボウフラがメダカの稚魚を食べる?

メダカの稚魚

ボウフラは、主に微生物や細菌、生き物の死骸や排泄物からなる有機物(デトリタス)を餌にしています。しかし、産まれたばかりのメダカの稚魚(針子)程度の大きさの生き物は、襲って食べてしまうことがあります。
先述した通り、成魚にとってはただの餌に過ぎないボウフラですが、稚魚(針子)にとっては命を脅かす天敵となります。

屋外飼育におけるボウフラ対策

ビオトープ

種類によって好む環境は異なりますが、水が溜まっている場所であれば、蚊が産卵するおそれがあります。メダカ飼育において、水は当然必要なものであり、特に屋外飼育においては、蚊が卵を産みつける可能性は低くはありません。
そのため、特に稚魚の飼育容器においては、目の細かい網をかけるなど、蚊の産卵のリスクを下げるための対策を実施しましょう。
また、飼育容器をよく観察し、ボウフラが発生していた場合除去するなど、地道な対策も大切です。
蚊取り線香を用いた蚊への対策は、殺虫成分(ピレスロイド)がメダカにも悪影響を与える可能性がありますので、使用には注意が必要です。

まとめ

蚊の幼虫であるボウフラは、メダカの成魚が餌として食べる一方、メダカの稚魚を襲って食べてしまうこともあります。メダカの成長具合によって、食べる・食べられるの関係が入れ替わるのです。
特にボウフラの混入のリスクの高い屋外飼育では、稚魚を守るための対策が必要になります。
夏場には、暑さ対策とあわせて、ボウフラ対策もしっかりと行っていきましょう。

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