メダカ飼育におけるタンクメイトとして、貝類(スネール)は関わりの深い生き物です。
今回は、そんな貝の一種である、ラムズホーンについてご紹介していきます。

ラムズホーンとは

レッドラムズホーン

東南アジア原産のインドヒラマキガイのことを指し、貝殻が羊の角に似ていることに由来します。
アクアリウムでは、アルビノ種を固定化したレッドラムズホーンが一般的で、他にもピンクラムズホーンやブルーラムズホーンと呼ばれる、色素変体を固定化したものも流通しています。
植物質を中心とした雑食性ですが、生き物や微生物の死骸・フンからなる有機物(=デトリタス)や、餌の食べ残しに対しても、旺盛な食欲を示します。
2~3㎝程度の大きさまで成長し、寿命は1~2年程度です。

メダカと共生はできる?

メダカ容器のラムズホーン

ラムズホーンは、15~30度程度の水温・弱酸性~弱アルカリ性のpHに対応できるため、メダカが飼育できる環境であれば、特に問題なく飼育が可能です。
冬の屋外では死滅するとされていましたが、越冬する個体が確認されています。
弱アルカリ性のpHを好み、水質が酸性に傾きすぎると、繁殖力の低下や、(水の硬度も影響しますが)貝殻の弱化につながる恐れがあります。

メダカの稚魚や卵を食べる?

稚魚の飼育容器

旺盛な食欲を示すラムズホーンですが、基本的には、メダカの稚魚や卵を食べてしまうことはありません。
稚魚の飼育では、餓死による死骸や、餌の食べ残しによる水質悪化の危険性が高いため、死骸や残餌を食べてくれるラムズホーンは、メダカの稚魚との相性が良いと言えます。
卵に関しても、カビた卵や死卵を食べ、他の卵への伝播を予防します。卵を咥えている姿を見かけることもありますが、卵の表面の付着糸・付着毛、そこに発生しつつあるカビなどを食べているものと考えられます。

メダカ飼育におけるラムズホーン

水質の維持

メダカの死骸を食するラムズホーン

放置することで、水質悪化を招くデトリタスや残餌を、食べて処理してくれることによって、水質の維持に寄与します。
また、ラムズホーン自体のフンが、バクテリアの棲家として適しており、水槽内の生物濾過を促進します。

コケ対策

コケの生えた水槽

もともとは、観賞魚水槽のコケ取りを目的として移入されたものとされており、コケや藻類、弱った水草なども食します。
メダカの飼育環境においては、デトリタスや食べ残しなど、ラムズホーンの餌となるものが多いことも影響してか、コケ取り能力はイシマキガイやヒメタニシには劣りますが、水槽内にコケが大量発生するような状態は防いでくれるでしょう。

見た目

ビオトープ

メダカ飼育と関わりの深い他の貝(スネール)と比較し、ラムズホーンは、その独特な体色が、アクアリウムやビオトープの中でひとつのアクセントとなります。
一般的なレッドラムズホーンをはじめ、さまざまな体色の品種が流通していますので、好みや環境にあわせて選んでみても良いでしょう。

繁殖力が強すぎる?

ラムズホーンの群れ

ラムズホーンは雌雄同体で、複数匹で飼育していると簡単に増えていきます。
一度の産卵で、ゼラチン質の卵嚢に覆われた10個以上の卵を産みます。水温にもよりますが、10日程度で孵化します。数を増やしたい場合にはうれしい特性ですが、飼育容器のそこかしこに産みつけられる卵嚢と、大量繁殖したラムズホーンによって、水槽や飼育容器内の景観を損ねてしまう恐れがあります。

ラムズホーンの卵
ラムズホーンの卵

 

冬を除き 1 年中産卵してお り,産卵の最盛期は夏季であることがわかった


鹿児島大学理学部林園水槽内における
外来種淡水性巻き貝のサカマキガイ(Physa acuta)と
インドヒラマキガイ(Indopranorbis exustus)の生活史
より引用

との調査結果も得られており、年間を通した繁殖力の高さが伺えます。
繁殖を防ぎたい場合は、容器に対して1匹のみで飼育する方法がありますが、交尾を経験した個体であれば1匹だけでも産卵し、また、発生は極まれのようですが、自家受精も可能なので注意が必要です。

まとめ

ラムズホーンはメダカ飼育において、水質悪化防止やコケ取りなど、さまざまなメリットを持つ生き物です。
大量発生にだけ気をつければ、非常に優秀なタンクメイトです。

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