水質の維持・改善において、水換えは有効な手段です。
卵の状態においても、孵化容器の水質は、孵化率に影響を与えます。
今回は、個別管理している卵の水換えについてご紹介します。

水換えによる効果

水中の泡

卵の孵化には、時間・水温・水質・光・酸素などの条件が必要です。
水換えはこの要素のうち、水質・酸素に影響を与えます。
時間の経過とともに、孵化容器内の水は汚れ、卵の呼吸によって溶存酸素量も減っていきますが、これを改善できる換水は、卵の孵化率を向上させうる要素です。

孵化したのちのメダカもそうであるように、急激な水温変化や、極端な高低水温はメダカの孵化率にも影響を与えますので、いずれの水を使用するにしても水温調整は行いましょう。

メダカの発生が可能な水温域は、最低16℃前後から34℃までの間であるらしい

大学教育出版:『メダカ学全書』より引用

との研究結果もありますが、『メダカ及金魚卵の孵化日數と水温との關係』における実験では、18~25℃で管理した卵が8割以上の孵化率を記録しており、この水温域での管理が推奨されます。

ファイブプランクリスタル水温計SS

水道水

蛇口から出る水道水

水道水には殺菌のためのカルキ(塩素)が含まれています。
通常、メダカにも有害であり飼育水には向きませんが、卵の水カビの発生・繁殖予防としては効果的です。

塩水・メチレンブルー水溶液

塩とはかり

水道水と同様に、水カビの発生等を防ぐ目的で使用します。
塩水であれば0.3~0.7%程度、メチレンブルーであれば、0.00005~0.0002%程度の濃度が理想的です。

カルキ抜きした水

バケツに汲み置きした水

卵の孵化率自体は水道水とほとんど変わりませんが、カルキ(塩素)が抜けている分、水カビの繁殖リスクは上がります。
一方で、生まれたばかりの針子は塩素に敏感な反応を示すため、孵化が近づいた卵にはカルキ抜きをした水で換水するのが無難です。

方法

水換えの方法は大きく分けてふたつあります。
ひとつめは、容器から古くなった水を捨て、新しい水を加える方法です。排水時に、卵が流されないように注意してください。スポイトがあると便利です。
ふたつめは、卵自体を、スポイトやピンセットなどで、新しい水(容器)に移す方法です。古い容器が空くことで、容器自体の汚れを除去(掃除)することができます。

頻度

壁掛けのカレンダー

小まめに行うことで、水質・酸素の確保が保たれた状態が維持されますが、1日1回以上の換水を行う必要はありません。
水道水であればカルキが抜ける程度、メチレンブルー水溶液であれば色が薄まるのを目安に行ってもいいでしょう。

まとめ

孵化容器の水換えは、水質改善(維持)・溶存酸素の確保として有効な手段です。
水の汚れる速度や程度や酸素の消費量は、孵化容器の置き場所(屋内屋外)や、卵の数などに大きく左右されます。
手間や負担がかかることなので、孵化率をみながら、自分の孵化環境にあった換水の方法や頻度を設定してください。

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