メダカ飼育における水流の良し悪し、は意見の割れるところです。
今回は、メダカ飼育における水流についてご紹介していきます。

水流によるデメリット

田んぼわきで遊ぶこどもたち

野生のメダカは、自然環境において水田や用水路、流れのゆるやかな小川や止水地を好んで生息しています。
メダカは小さな魚であり、遊泳力もあまり強くはありません。また、メダカには流れに逆らって泳ぐ習性(正の走流性)があるため、強すぎる水流はメダカの体力を消耗させてしまいます。
そのため、常に強い水流が生じるような環境では、メスが卵を産まなくなったり、最悪の場合は死んでしまうこともあります。

流水での飼育は、稚魚にとっては過労になり、からだを衰弱させる原因となるので止水で飼育するのがいい。

青弓社:『メダカと日本人』より引用

とあるように、産まれたばかりの稚魚(針子)に対しては、特に注意が必要です。

正の走流性

フィルター入りのメダカ水槽

メダカには、流れに逆らって泳ぐ習性があります。
水流そのものを頭部の側線(水流や水圧を感じる器官)で感じとるほか、

メダカなどの小型魚類は小川などの流れや群れの中で定位置を保つために、視野を一定に保つように遊泳する性質がある。そのため背景を動かすと、水流のない状態でも視野を一定に保つように、魚は背景に追従して遊泳する(視運動反応)

『小型魚類の適応的行動 (視運動反応,群れ行動)の脳情報処理原理と
その神経・分子的基盤の解明を目指して』より引用

とあるように、視覚も用いて、水流に逆らい定位置を維持しようとします。
これは、自分の生活圏から流されないようにするため、上流から流れてくる餌を見つけやすくするためであるとされています。

水流によるメリット

幹之メダカの稚魚

一方で、水流は水自体を循環させることで水質の悪化を防いだり、水面が波立つことによって酸素の供給もなされるため、環境としては良い状態がつくられます。
また、メダカそのものに対しても、体長が10㎜以上に成長した個体に対しては、

流水(二四度~二六度)で飼育すると、二ヵ月半で体長二十三ミリ(全長二十八ミリ)前後に育ち、産卵するようになる。

青弓社:『メダカと日本人』より引用

とあるように、適度な水流はメダカの成長促進における要因となることが伺えます。

水流対策

投げ込み式フィルターによる濾過

飼育環境において生じる水流は、フィルターやエアレーションによるものが主です。
先述のとおり、強すぎる水流はメダカに害になりますので、適度な強さに調整する必要があります。
フィルターの場合は水流は弱めに設定し、エアーポンプを用いる投げ込み式フィルターやエアストーンの場合は、コックなどを用いてエアー量を調整することで水流を弱めることができます。
あわせて、水草などを障害物として投入して、メダカが体を休める場所をつくってあげることも有効です。

まとめ

水流はメダカを疲弊させる要因になるおそれがありますが、適度なものであれば飼育におけるメリットも多分に存在します。
飼育容器全体に、メダカが常に逆らって泳ぐ程度の強い水流が発生していないことが目安になります。
メダカの様子を見ながら適宜調整を行って、メダカにとって良い環境をつくってあげましょう。

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