メダカと日本人の関わり

日本の原風景

江戸時代にはすでに庶民に親しまれており、観賞魚として育てられていました。鑑賞だけでなく、釣り針につけたエサだけを食べさせて釣り上げる、メダカ釣りというのもこの時期に生まれたようです。その頃はメダカが食材にもなっていたらしく、卵とじや佃煮として調理されていました。現在でも新潟ではうるめの田舎煮という名前でメダカを佃煮として食べる地域があります。
現代では科学の分野で、遺伝子のゲノムの解析に一役買ったりと、昔からメダカは日本人に馴染みのある魚として親しまれています。

メダカの特徴

種類・色

水槽の中を泳ぐメダカ

日本の野生のメダカはキタノメダカとミナミメダカの2種類がいます。グレーがかった体色をしており、黒メダカと呼ばれています。
最近観賞用では、突然変異や品種改良が進み、黄(朱赤)系白系黒系ラメ系など、様々な体色が出てきているのも人気の理由かもしれません。

1匹のメダカ

体は3〜5cmほどの大きさで、自然のメダカの寿命は1〜2年、飼育下では5年前後も生きた記録もあります。
口はアゴが突き出しており、底に沈んだエサより浮いているエサを食べることを得意としています。エラも強く、海の近くの汽水域を泳いでいるのを見かけることもあります。

メダカ

メダカは漢字で目高と書きます。メダカが生活していくには漢字の通り目に頼っていることは多いのですが、側線と呼ばれるものがメダカは発達しています。人間でいうと耳にあたる部分です。この側線のおかげで群れで泳いでいても近くの仲間にぶつからなかったり、水中のエサも探すことができるのです。

自然のメダカがいる場所

小川

現在自然に生息するメダカは減ってきていますが、田んぼやその周辺の用水路、小川、ため池など、昔の日本の原風景が浮かぶようなところに生息しています。比較的水深が浅く日光が当たり、水の栄養価が高いところを好みます。水の栄養価が高ければメダカがエサとして好む植物性プランクトンや微生物・バクテリアが発生しやすいのです。

メダカの天敵

畑への農薬散布

メダカの天敵はトンボの幼虫であるヤゴやゲンゴロウ・タガメといった肉食の昆虫だったのですが、自然が消えていっている日本においては、これらの肉食の昆虫類も減ってきています。現在はメダカの住んでいる田んぼなどが減ってきたり、カダヤシや田んぼに撒いている殺虫剤等が原因でメダカの数が減ってきています。

メダカの季節ごとの行動

桜と青空

長い冬を乗り越えたメダカたちは、あたたかくなるから徐々に行動をし始めます。少しずつエサを食べ始め、ちょっとずつ弱った消化器官を通常通りに戻していくのです。消化器官が通常通りに戻ってきたメダカは活発にエサも食べ始め体も大きくなり、繁殖期へと移っていきます。

ひまわりと青空

梅雨も明け、本格的な夏がはじまるとメダカは水温が低いところを求めて行動するようになります。メダカは丈夫で、水温が40度まで耐えられますが、水温が高くなれば水中の溶存酸素量がへるため、少しでも水温の低いところへと移動します。草の影や少し流れの効いているところです。

紅葉したもみじ

に入るとメダカは冬眠に備えて栄養を蓄えようとします。日もだんだんと短くなり、昼と夜の水温の高低差も大きくなります。この時期からは水温の安定した流れのない場所や、夏に比べると水深があるようなところを好むようになります。

氷がはった湖

消化器官もだいぶ弱り、冬眠状態に入ります。水温変化の大きい浅瀬は避け、深場でじっとしています。このときは底におちている落ち葉や、岩の下などに隠れています。

メダカの繁殖

オスメスの見分け方

メダカのオスメスの見分け方

メダカのオスメスは横から見分けるのが一般的ですが、上からも見分けることが出来ます。

産卵行動

メダカの交尾

オスがメスに求愛し、産卵行動をします。オスがメスの周りをくるくる回るようになり、メスが気に入れば寄り添って泳ぎだし、オスが尻ビレで抱え込みメスは産卵します。卵を抱えたメスは水草などに産み付けます。約2周間で稚魚は卵から孵化します。メダカの稚魚は針子と呼ばれます。

生涯で産卵する卵の数

メダカの卵

メスが持っている卵の細胞は約5000個です。この全てを生涯の中で産卵できるわけではありません。きちんと体に栄養を蓄え、良いオスと巡り合い、産卵できる環境が整ってやっと産卵できるのです。
そのため、自然のメダカが生涯産卵できる卵は1500個前後と言われています。

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