メダカを購入し、いざ容器へ入れてみると…こんな色だったっけ?と不思議に思うことがありませんか。
メダカの体色はどのようにして決まり、また変化するのことはあるのでしょうか。
今回は、メダカの体色変化についてご紹介していきます。

メダカの体色を決める色素胞

様々な品種のメダカ

メダカは、黒色素胞・黄色素胞・白色素胞・虹色素胞の、4種類の色素細胞をもっています。
これらの色素胞(または色素胞内の色素反応)の有無や多少、分布によって体色(品種)が決定します。このような体色の変化を形態学的変化といい、長い時間をかけて固定されていきます。
一方で、黒、黄、白の色素胞は光に対する反応性をもっており、色素胞内の色素顆粒が拡散・凝集することで、即時的な体色の変化を見せます。これを生理学的変化といいます。
買ってきたきたメダカの体色が、薄く・濃く変化したように見える場合は、この生理学的変化が起こっていると考えられます。

保護色(背地反応)

野生環境における対生物という点で脆弱であるメダカが生き残るためには、捕食者に見つからない、効率よく餌を食べる、ということが非常に重要になります。
野生のメダカは、背中側が黒っぽく、腹側は銀白色をしています。上からの視線に対しては背地(水底など)に、下からの視線に対しては水面の光(日光)の反射に自らを紛れ込ませているのです(カウンターシェーディング)。

黒背地でのメダカ
黒い容器での体色

白容器での体色
白い容器での体色

しかし、野生環境においても、生活圏の水深や水底の色、水草の群生具合や天候などによって、明地・暗地が存在します。そのような環境に対応するために、メダカは網膜から入る光の強弱によって色彩・明暗を判断し、色素胞内の色素顆粒を拡散・凝集させることで、体色の明暗・濃淡を変化させます。この生理学的な変化を、保護色、あるい背地反応といいます。飼育環境下においては、飼育容器や底床の色によってこの反応が起こります。

色揚げ

容器を泳ぐ楊貴妃メダカ

では、生理学的変化(保護色・背地反応)が、メダカの体色そのものに影響を与えることはあるのでしょうか。

長期間同じ背地環境に置かれると、色素胞の数や形状が変化してくる。

総説『メダカの色素胞と体色変化』より引用

とされており、メダカの成長過程における形態学的変化には、遺伝や他の飼育環境に加えて、背地(飼育容器・底床)も少なからず影響を与えると考えられます。

婚姻色

婚姻色の特徴が表れたメダカ

魚類などの一部の生物においては、繁殖期に通常時とは異なった体色、婚姻色が表されるものがいます。
メダカにも、この婚姻色に相当するものが存在し、

繁殖期になると、野生メダカにおいて、尾鰭と臀鰭にいくつかの黒い条がよく発達しているし、緋黄色が臀鰭の背腹両側に目立つ。これは、ほかの魚類にみられる婚姻色に相当するもので、黒色素胞melanophires、黄色素胞xanthophoresの数の増加によるらしい。

大学教育出版:『メダカ学全書』より引用
※”臀鰭の背腹両側”は、”尾鰭”の誤りか

とされています。この婚姻色に加えて、

野生のメダカクロメダカは、性的に興奮すると、体表全体、特に腹ビレが黒くなる。

青弓社:『メダカと日本人』より引用

とされており、特にオスのメダカの体色変化が顕著です。

まとめ

メダカの体色は、4種の色素胞によって決定します。
しかし、保護色(背地反応)によって、メダカの体色の見え方が変化するのも、また確かです。
メダカの品種や元の体色にあわせて飼育容器や飼育環境を整えて、よりきれいな体色のメダカを楽しみましょう。

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