メダカを飼う上で飼育水は絶対に必要です。
水道水をメダカの飼育に使うには、カルキ抜きを行わなければなりません。
今回は、そのカルキ抜きの方法について紹介します。
目次
カルキとはなにか
カルキとは、消毒・殺菌のために水道水に添加されていた次亜塩素酸カルシウムのことです。
現在、水道水の消毒殺菌には次亜塩素酸ナトリウムや液体塩素などが使用され、厳密に言えば水道水にカルキは使用されていません。
水道水の消毒・殺菌のわかりやすいイメージとして、カルキという名称が使われたままになっている状態です。
なぜカルキ抜きが必要なのか
カルキにも、現在使用されている薬剤にも、消毒殺菌のために塩素成分が含まれています。
この塩素成分は、人体には影響のない微量なものですが、からだの小さなメダカなどの小魚にとっては大変有害なものです。
そのため、メダカの飼育水にはカルキ(=塩素)を抜いた水が必須となります。
カルキ抜きの方法
汲み置き
水道水のカルキ抜きとして、一般的なのはバケツ等の容器に汲み置きしておく方法です。
塩素は紫外線により分解、揮散しますので、汲み置いておくだけで自然とカルキ(塩素)が抜けていくのです。
しかし、汲み置きでは、水量や置く場所などにより要する時間が異なります。
屋外(直射日光)
汲み置きではもっとも早く塩素が抜ける環境であり、6時間程度が目安です。
特に紫外線量の多い夏場の屋外であれば、1時間~3時間程で抜けることもあります。
屋外(ひかげ)
屋外であっても太陽光の当たらない日陰では、紫外線分解は緩慢で、1日~2日間程度の汲み置きが必要になります。
曇天や冬場など、紫外線量の少ない時期も同程度です。
屋内
直射日光(紫外線)のほとんどあたらない屋内では、塩素が抜けるまでにさらに時間がかかります。窓際など、太陽光の差し込む場所であれば、時間は短くなります。
通常、2日~5日間程度汲み置きが必要になります。
エアレーション
水を攪拌し空気にさらすことで、塩素の除去を補助できます。
汲み置きの条件に加えてポンプの出力などの影響も受けますが、ただ汲み置きしている場合よりも~2倍程度の早さで塩素が抜けていきます。
沸騰
水道水を沸騰させることで、塩素は分解され揮散します。
沸騰後5分程度は、水道水に含まれるトリハロメタンという物質の濃度が一時的に上がるため、飼育に適した水をつくるためには沸騰状態は10分~20分程度維持する必要があります。
また、沸騰後は水に含まれる酸素量が少なくなっていますので、エアレーションなどで酸素を供給しなければいけません。
当然、水温も飼育に適した温度まで冷ましてから使用する必要があります。
カルキ抜き剤(塩素中和剤)
市販されているカルキ抜き剤(塩素中和剤)を使用する方法です。固形剤と液剤の2種類に大別されます。
薬剤に含まれるチオ硫酸ナトリウム(ハイポ)という物質によって塩素を中和します。
商品によっては、白濁りの予防や、エラや粘膜の保護などカルキ抜き以上の要素をプラスしているものもあります。
使い方を誤ると、かえってメダカに害をおよぼすおそれがありますので、商品ごとの用法用量は必ず守って使用しましょう。
カルキ抜きの必要がない状況
成魚飼育における部分的換水
一方で、
ふつう汚物を吸い出すための1/5以下の部分的換水には、このような処理をしなくても、成魚の場合は全く影響はない。
大学教育出版:『メダカ学全書』より引用
とあるように、成魚飼育における、限られた量の換水であればカルキ(塩素)による悪影響はないともされています。
もちろん、カルキ抜きを実施しての換水が基本ではありますが、成魚飼育であれば、少量、カルキ抜きをしていない水が混入しても問題はありません。
卵の孵化用水
メダカの卵のカビ被害は、繁殖における課題のひとつです。
カビの原因は、飼育水の中に常在している菌であるとされています。
一方で、水道水のカルキは、消毒殺菌を目的に添加されているものです。そのため、菌によるカビ予防のため、孵化用水には、カルキ抜きを行っていない水道水の使用が適しています。
残留塩素の確認
各メーカーより塩素濃度の確認が可能な商品も販売されています。
カルキ抜きをおこなっても残留塩素がどうしても気になる方は、一度使用してみてもいいかもしれません。
まとめ
メダカを飼う上で、飼育水はなくてはならないものです。
飼育されている環境や、かかる手間暇、費用などから、自分やメダカにとって適したカルキ抜きの方法を選択しましょう。