メダカ飼育において、ホテイアオイは目にすることの多いひとつではないでしょうか。
今回は、ホテイアオイの特徴や育て方、メダカ飼育における役割などをご紹介します。

ホテイアオイとは

ホテイアオイ(ホテイソウ・ウォーターヒヤシンス)とは、南アメリカを原産地とする、浮遊性の水草です。日本には、明治時代に持ち込まれたとされ、現在では各地で帰化植物化しています。浮袋状に成長する葉柄が特徴的であり、七福神の布袋(ほてい)のお腹のようにも見えるその様子が、名前の由来であるとされています。
地域差もありますが6月~11月ごろには青紫色の花も咲かせます。
丈夫かつ繁殖力も強いため、野生環境では夏秋期に大繁茂し、問題になることがあります。

ホテイアオイの育て方

雲と太陽

ホテイアオイは、日当たりの良い、温暖な環境を好みます。
最適水温は18~32℃程度ですが、34℃以上では生育が抑えられてしまう恐れがありますので注意が必要です。対応可能な水質(pH)も酸性~弱アルカリ性と広いため、屋外では問題なく生育が可能です。
一方で、日当たりの悪い場所や室内では、生育がしづらい傾向にあります。
また、温帯~熱帯環境を好むため低水温には弱く、冬季には枯れてしまう個体がほとんどです。0℃以下ではほとんどが枯死してしまい、およそ1ヵ月間の平均気温7~8℃以上が、生育の限界温度とされています。

繁殖

ホテイアオイは繁殖力が非常に強く、1個体から1000株以上にまで増殖したとされる記録もあります。
種子繁殖とは別に栄養繁殖(無性生殖)が可能であり、多くの栄養を蓄えた個体が、ストロンと呼ばれる茎を伸ばし、その先に子株を形成します。繁殖には、水中の窒素・リン・カルシウムを栄養としてよく利用するとされています。
また、個体の生育と新株(子株)の形成における優先性が、水温(季節)によって変化するという報告もなされています(『温度要因がホテイアオイの生育及び繁殖に及ぼす影響』)。

メダカ飼育とホテイアオイ

水質浄化

泡立つ水面

メダカ飼育において、窒素(アンモニア~硝酸)やリンによる水質悪化(≒富栄養化)は、メダカの健康や生死に関わる重要な要因です。
先述の通り、ホテイアオイは水中の富栄養化の一因である窒素やリンを利用して生育するため、メダカ飼育環境に導入することによって、水質悪化を緩和します。

産卵床として

ホテイアオイは、浮袋状の葉柄を利用し水面に浮遊して成長しますが、根は水中で伸ばします。水中に伸びるひげ状の根には、メダカが好んで卵を産みつけます
ビオトープ飼育など、景観上の理由から、人工産卵床に抵抗のある方に向いています。

隠れ家・日よけとして

円形~楕円形の葉柄がメダカの隠れ家や、夏の直射日光の遮蔽物となります。
一方で、ホテイアオイが繁殖しすぎると水面を覆ってしまったり、アレロパシー作用によって飼育している生物全体に影響をあたえるおそれがありますので、水面の3分の1程度に抑えるなど、飼育環境にあわせて調整が必要です。

ホテイアオイの入手方法

販売されているホテイアオイ

ホームセンターの園芸コーナーなどで購入することが可能ですが、メダカや金魚とも相性の良い水草ですので、専門店やペットショップなどで販売されていることもあります。
また、青森県以南では、九州地方を主に、野生化したものが全国的に確認されていますので、河川や溜池、水路などを探せば自生しているものを発見できるかもしれません。野生のものは、貝(スネール)や微小な水生生物、目に見えない細菌や農薬などが付着しているおそれがありますので、導入前にトリートメントを実施することをおすすめします。

まとめ

ホテイアオイは、水温や水質(pH)もひろく対応でき、丈夫であると同時に、メダカ飼育においてメリットも多い水草です。
冬季を除けば、注意すべき点は日光の確保と、増えすぎること程度ですので、導入も容易です。
ビオトープによる屋外飼育などとは、見た目の相性もよいので、おすすめです。

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