全ての生き物がそうであるように、メダカにも寿命が存在します。
メダカのような小さな生き物は、いったい何年くらい生きてくれるのでしょうか。
また、飼育環境において、どのような要因が寿命に影響を与えるのでしょうか。
今回は、メダカの寿命についてまとめています。
平均寿命
飼育環境下における平均寿命は、2年半~3年程度であるとされています。長いものでは、約5年間生きた報告もあるようです。
一方で、野生メダカの寿命は約1年半程度であるといわれています。
野生のメダカと、飼育環境下における最長寿命のメダカをみるに、メダカの寿命は、環境による影響を如実に受けると言えます。
寿命に関わる要因
水温
高水温下では体力を消耗しやすく、
一般に寿命は、夏季に水温を下げて飼育すると長くなるが、冬季に水温を上げて飼育すると、かえって短くなる傾向がある。
青弓社:『メダカと日本人』より引用
とされています。寿命を伸ばすには、夏季には水温が上昇しすぎない環境、冬季には冬眠環境が適していると言えます。
また、日周期的に極端ではない水温変化はあった方が良いとされており、野生に近い水温環境が、メダカの寿命に良い作用を与えると考えられます。
心拍数
メダカの心臓の拍動は水温に比例し、高水温であれば心拍数は増加し、低水温では減少します。
これを、水温と寿命との関係に当てはめると、「心拍数が少ない方が寿命が長くなる」と言えます。
あらゆる哺乳類は、寿命にいたるまでの心拍数は同一であるとされています。
メダカは哺乳類ではありませんが、同じ脊椎動物である以上、心拍数と寿命との関係性については、無いとは断定できないのではないでしょうか。
光
光はメダカの飼育において、発育や繁殖を促すホルモンの分泌をつかさどっているとされています。
しかし、ただ光を照射すればいいというわけでもなく、
日光のよく当たる窓際に水槽をおいて飼育すれば、水温が少々高くなっても四〇度を越さなければ、夜間水温が下がるので光と温度に日周期サイクルができ、かえっていい。
青弓社:『メダカと日本人』より引用
とあるように、明暗によるサイクルが必要であることを示しています。
完全な室内飼育においても、照明の点灯・消灯で再現することが理想的です。
太陽光
太陽光を浴びることによって、ビタミンA・ビタミンDがつくられます。
それぞれ、免疫力・骨の形成等に重要なビタミンであり、健康なメダカを育てる上では、大切な要素です。
また、病気を引き起こす悪性細菌への消毒殺菌作用も期待されます。
生殖
多くの生き物は、生殖活動が不可能になるとほぼ同時に寿命を迎えます。
メダカも、ほとんどの個体は生殖が不可能になると死に至ります。
すべての個体の寿命が≒生殖寿命であるとは言い切れませんが、特にメスの個体は、
生殖巣が萎縮して生殖寿命を終えると、多くのメスはホルモンも出なくなり、体調を崩して、いわゆる更年期障害で死ぬ。
青弓社:『メダカと日本人』より引用
ともいわれるように、生殖寿命の終了により、個体としても生命力が弱まることは確からしいと考えられます。
餌(栄養)
メダカは、多くの生き物と同じように、活動や成長に必要なエネルギーを他の有機物から得ています。
野生のメダカは、同じく野生環境下で発生した植物プランクトン・動物プランクトンや、ボウフラ・アカムシなどを餌にしています。
しかし、これはあくまでも自然発生したものに限り、必ずしも十分な栄養を採れているとは言えない状態です。
一方で、飼育環境下におけるメダカは、飼い主による定期的な給餌が行われ、また、人工の餌にしても、あるいは植物プランクトンの十分に増殖したグリーンウォーターや、培養された動物プランクトンなども、野生環境に比べ、栄養価・量ともに充実したものであると言えます。
寿命のサイン
寿命(老化)のサインとしては 、
- 背骨(脊椎骨)が曲がる
- 動きが緩慢になる
- 目が白濁する
- ヒレ軟条が折れる(骨粗鬆症)
- 卵を産まなくなる(メス)
などの状態があげられます。
病気や外的要因などでも引き起こされる状態ですので、必ずしも寿命(老化)のサインとはいえませんが、ひとつの目安としてご参考ください。
まとめ
メダカ飼育において野生環境の再現が推奨されることからも、水温(水温変化)・光(太陽光)および日周期などの要因は、野生環境の方が優れていると仮定されます。
それにも関わらず、野生メダカの寿命よりも(天敵による捕食など、外的な要因を考慮しても)、飼育環境下のメダカの寿命の方が著しく長いことは、寿命の長短が餌(栄養)に寄与する部分が最も大きいためと考えられます。
メダカ飼育の楽しみ方はそれぞれですが、十分な給餌をおこなうことが、長くメダカを楽しむための第一歩といえそうです。